禅宗は、お釈迦様より二十八代目の弟子にあたる菩提達磨(ぼだいだるま)によってインドから中国に伝えられた実践的な教えです。
達磨さんが中国嵩山少林寺にて坐禅の最中、後に弟子となる神光という青年が尋ねてきて教えを請うが、達磨さんは無言でした。
神光は雪の中を一晩中立ち続け、夜明けを迎えました。その姿に達磨さんは初めて口を開き、仏の妙法を悟ることの難しさを伝えました。
すると神光は自分の左肘を切り落として熱意を示し「私の心に安らぎを与えてください」と懇願しました。
達磨さんは「よし、お前の心をもってこい。安らかにしてやろう」と言うと神光は身悶えし「心を求めましたが、どうしても得られません。」と絶叫しました。するとその時、達磨さんが断言しました。
「汝の心を安んじおわんぬ。」
この一言によって、神光は心の闇を切り開き、悟りを開いたと言われております。
このように、達磨さんの教えは文字や知識ではなく、常に宗教的体験を基にした実践的なものなのです。