おんたく便り

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おんたく便り 第75号(平成25年7月1日号) ごあいさつより 

数年前、突然息子さんを亡くされたお母さんが私にこんな話をされました。
「息子を亡くしてから、毎日、息子のことばかり考えてしまい辛くて、辛くて仕方ありません。」と。
 私は何と答えれば良いのか分からず、
「今は辛いかもしれませんが、時間が経てば悲しむ気持ちも落ち着いてくると思いますよ。」と答えました。
 その時、お母さんがどんな顔をなさっていたかは覚えていません。

 昨年、私は大切な人を相次いで亡くしました。
 そして大切な人を失う悲しみは時間が経てば癒えるものではなく、むしろ時間が経てば経つほど「もう一度だけ、少しだけでもいいから会いたい」という想いが強くなる・・・
そのことを四十六という歳になって初めて知りました。
 それと同時に、
「私の大切な人は何処へ行ったのか?」
という想いが私の心を厚く覆うのでした。

「坊さんのくせに」と言われるかも知れませんが、答えをお経の中に求めても、お釈迦さまはあの世のことは一切説いておられないので見つからない。気になって、気になって仕方のない悶々とした日々を送っておりました。
 そんなある日、ふと手にした『花園』(平成二十六年九月号)に「死んだ息子に会えますかと」と題されたエッセイが目に留まりました。

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 姜尚中(カンサンジュン) 東京大学名誉教授が、横田南嶺(よこたなんれい)老師に尋ねます。
「和尚、人間は死んだらどうなりますか?死後の世界はどうなるのですか?数年前に私の長男は自死しました。その悲しみは消えるどころか積もるばかりです。死んだ息子に会えますか?」
 老師は、

「私には明日の天気もわかりませんから天気予報をみるのです。明日のこともわからないのにどうして、死んだあとのことがわかりましょうや。あの三年前の三月十日(東日本大震災)に、日本にはたくさんの宗教者、占い師、霊能者がいるが、誰が明日、大震災がくるといわれたか。大津波がくるといわれたか。大津波がくるから海のそばに行ってはいけないといったら、どれだけの人が助かったでしょうか。どうして明日のことがわかりましょうや。」

 そして、こう続けられます。
「でも、明日を信じることができます。明日があると信じて生きることができます。会えるかどうかわかりません。でも、会えると信じましょう。また、会えると思えば今、生きている間、一生懸命生きられるのではないですか。また、会えると思えば、最後にぐっすりと死(ね)むれるのではないですか。」
と。
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 これを読んだとき、それまで心を厚く覆っていたモヤモヤが嘘のように晴れあがりました。
「そうだ、信じよう!また会えると信じればいい。また会えると信じて今を生きて行こう。」
 そう思うと、楽な気持ちになれたのです。
 今の時代にあって、「信じる」ということは「騙されること」「馬鹿を見ること」という風に捉えられがちですが、不確かなこの世を生きるためにこそ「信じる」ということはとても大切なことだと思います。
 あの世について議論されることがありますが、その有無についてはどちらでもいいこと、また会えると信じればいい。
 お釈迦さまは、死後のことについては一切お話にはなりませんでしたが、次のような言葉を残されています。

 過去を悔やむな、
 明日を憂うな、
 ただこの瞬間を生きなさい。

 この世は舞台のようなもの、一人一人に役割がある。スポットライトを浴びる人もいれば、陽の目をみない地味な役の人もいる。でも与えられた役をしっかりと演じきった先には安らぎの世界が待っている・・・。

 お釈迦様の言葉にはそんな意味が込められているような気がするのです。
 息子さんを亡くされたお母さんに今度は「信じましょう」と伝えたいと思います。

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